福岡高等裁判所 昭和25年(う)25号 判決 1950年11月10日
被告人
垂水勝喜
主文
原判決中被告人に関する部分を破棄する。
被告人を懲役一年六月に処する。
訴訟費用中原審における分は被告人と原審共同被告人西原進、同西村一好の連帯負担とし、当審における分は被告人の負担とする。
理由
弁護人白川慎一の審理不尽の論旨について。
第一審裁判所において被告事件の審理中同一被告人に対する別個の被告事件が控訴裁判所に繋属している場合第一審裁判所が控訴審繋属中の被告事件の結果を調査しなかつたからといつて第一審の審理に不尽があつて、延いて第一審被告事件の量刑に影響を及ぼすものということはできない。もし、それ所論のように控訴中の別被告事件の結果如何が第一審被告事件の量刑に影響があり、その調査をしなければならないとするならば、更に該控訴判決後の経過即ち上告審の結果をも調査せねばならぬ理となり該事件が上告審に繋属した場合はその終結を俟たねば第一審判決をすることもできぬ結果を招来するであろう。かかることは迅速処理を期する刑事訴訟法の精神に反するところで論旨は理由がない。
(註 本件は量刑不当により破棄自判)